ガイガーカウンター



  1. ロシア製GM管によるガイガーカウンターの作製:


  ガイガーカウンターを作成するに当たって、最大のネックはGM管が手に入りにくいこと、次に、昇圧パルス・トランスの入手の問題であるが、先日、友人からGM管を頂いたので作ってみることにした。 GM管は、ロシア製のかなり古い軍用らしく、規格も全く分からなかったが、作ってみるうちに、プラトー電圧800Vのようだった。(* 流通している小型GM管は、500V と 800V の2種類ある)

  とりあえず、旧 秋月キットの回路(GM管: D3372)を参考にし、LCD表示する形に回路を組んでみた。(2SA1015で位相をひっくり返すのは、555発振の名残) GM管にかける電圧は、”写ルンです”のパルストランスを流用(450〜500Vになる)し、倍圧整流すると同時に、5kΩVRを調整して 800V前後となるようにした。
 

  GM管の有効な計測部の容積はかなり小さく、photoのガラス管内のセラミックに、内と外から巻いたコイル間の体積となる。ガラス容器は真空に引いているようである。(+−を逆接続すると放電するのが見える)
  実際に、ランタン用マントル(Th含む)と、閃ウラン鉱(UO2)の小さな標本とを、BG(バックグラウンド)と比較して測定すると、

  B.G.: 0〜6(cpm)、 マントル: 18〜36(cpm)、 閃ウラン鉱: 60(cpm) (cpm: カウント数/1分間)
のようになり、はっきりと差が出たものの、かなり感度が鈍かった。また、電圧によってカウント値が大きく変化するので、電源は6Vのレギュレータを入れて一定にする必要があると思われる。

  高圧電源の電圧測定は、測定器による電圧降下が大きいため不可能だった。(秋月のmV計に100MΩ等のアッテネータを付けた電圧計では540V、アナログテスター1200Vレンジでは340Vの表示となり、おおよその目安にはなった。因みに、ストロベリーリナックスのLND712使用のものは61V。) 全消費電流は約30mAでやや大きめだった。

 



  2. PICプログラム:


  低周波領域の信号を扱うので、プログラムの設計は楽であり、いろいろな付加的なソフトを組み込むことができる。ここでは、PIC16F628Aを用い(Build時の プログラム・スペース88%、データ・スペース45%程度) @ 5回平均cpm と、A トータルカウント数を、それぞれ独立にデータをスタックし、タクトスイッチによって LCDの表示を交互に切り替えるようにした。

  LCD表示部の関数群の詳細は、PICの応用回路(2)を参照。

  

  メイン関数では、入力信号が低周波なので、通常のデジタル入力端子から while文で 入力信号を識別し、5回平均用 10進データを aa1〜aa5 の5桁分、および、トータルカウント用の10進データを b1〜b8 の8桁分として それぞれ別にスタックした。

  割込み関数では、変数SWが0の場合、タイマ1のオーバーフローによる割込み10回ごと(約0.5S)に、過去5回分の aaデータを加えて2バイトの数値化し、(0.5Sなので)それを6倍して cpm換算の値として表示した。(5×6/0.5 = 60) したがって、表示される値は6の倍数となる。 また、変数SWが1の場合は、bデータをそのまま逆順にして表示し、トータルカウント数とした。 SWが0であるか1であるかの切り替えは、タクトスイッチからの INT入力による割込みで行った。

  高圧電源用トランジスタを駆動する PWM信号は、タイマ2のCCPモジュールを用いた。上記回路では、(555発振の名残で位相が反転するので、)PR2=60、CCPR1L=59 とすることにより、トランスには 周期60μS、幅1μSのパルスが印加されることになる。

 
   ● ソース



  3. 米国製 LND712 の評価:


  LND712(米国・LND社製、プラトー電圧500V、φ15×L40mm)は、一部の市販のガイガーカウンター製品にも使われているほど、素性の知れた、(小型としては)高感度のGM管で、先端の”雲母窓”により α線や 低エネルギーのβ線も測定することができる。雲母窓に加え、内部は不活性ガスを減圧して封入している。 (ただし、昨今の原発事故の影響で入手しにくく、1本1万円前後と やや高価。) これを、上記の回路に 電圧を500V程度に落とすよう一部改造して接続してみた。高圧回路は、倍圧整流の必要は無く、そのままの整流でできると思われる。この場合の電圧は、改造した秋月mV計で350Vだった。

  結果は、なかなか良好で、 B.G.: 0〜12(cpm)、 マントル: 120〜160(cpm)、 閃ウラン鉱: 600(cpm) となった。

  これを、μSv(マイクロ・シーベルト)/h に換算すると、LND712単品の感度曲線(下図)より、 1(μSv/h) = 33.3(cpm) であり、たとえば、100(cpm) ≒ 3(μSv/h) 程度(高エネルギーベータ線 + γ線)になる。実際は、高圧部の電圧がプラトー平坦部に充分乗っていないため、かなりの数え落としがあると考えられる。
  (因みに、ストロベリーリナックスのガイガーカウンター(雲母窓から直接・障害物なし)では、 B.G.: 15(cpm)、 マントル: 260(cpm)、 閃ウラン鉱: 2400(cpm) であり、良く調整されている。)

    



  * 知り合いで、3月に福島県までガイガーカウンタで測りながらドライブした人がいて、福島県の山の中の砂を持ち帰ったところ、800μSv/hもあった!(金庫に入れて測定しながらテスト用の”放射線源(!)”として保管している。アルミ・ボックスに入れた状態では、20μSv/h)

  都内の新宿や秋葉原でも、(報道とはだいぶ異なり)かなり高いところがあるそうである。

  彼が持っていった測定器の中で、中国製のものは、ドライブ中に放射線が多くなると、逆にメータが下がる。これは、高圧電源が弱いためである。ロシア製も高圧部が弱い。

  ** シンチレーション方式は非常に感度が良く、低レベルの放射能を測定するのに向いているが、感度が良すぎてB.G.も多く数えるので、15cm厚くらいの鉛の箱で覆って測定することになる。シンチレーション・センサは、まだ2万円くらいもする。

  *** 食品中の放射能の測定は、基準が厳しいため非常に微弱であり、濃縮するか、鉛の箱の中で時間をかけて測定しなければならない。










   §  コンピューターの限界と 物理学の限界について:


  メインのプログラムが while(1) のみである場合、それは、1箇所で無限ループに陥って、ちょうど、一点に潰れたブラックホールがぐるぐる回っているような状態です。ただし、外部からの割込みによってそこから脱出可能となります。なぜなら、その割込みは、あらかじめ設定されているからです。
  主は、偉大な創造主です。 罪の中でブラックホールにいるように閉じ込められている私たちに対し、あらかじめ「救い」の道を計画されました。

  DNAは、(自己複製は別にして、)RNAに転写する場合、DNAの多くのの場所から同時に多くのRNA群に転写します。 これに対し、コンピューターは基本的に、一点の”動作点”ですべての情報を処理する構造なので、どうしても無理が出ます。 扱う情報の速度が充分遅い場合は、人の目や耳の錯覚(残像など)を利用して、TVやダイナミックドライブや パソコンの画面表示や音声などのように、いかにもそれらが なめらかに連続しているかのように表現します。
  しかし、高速の情報の扱いや、あまりにも多元な処理の場合は、ちらつきなどの”ボロ”が出てきます。これは、”コンピューター”の基本的な欠陥構造であり、”宿命”とも言えるものです。
  (高速周波数カウンタなどの専用LSIでは、それぞれ独立したカウンタレジスタとダイナミックドライブ・モジュールが付属していて、複数の”動作点”が同時に働く構造になっている。)
  このように、どういうわけか、現状のコンピューターは、プログラムが”直線的”のままで CPUの動作速度を上げて、この”一点の動作点”が働く速度を極限まで増していく方向です。


  一方、物理学においては、20世紀初頭に発見された「不確定性原理」がすべての物質を貫いて存在しています。

  カウンターによる計測では、その数値はある一定時間内の”平均値”を知るに過ぎず、逆に、ゲート・タイムを短くすると、測定の精度は下がっていきます。瞬間的な時間の 正確な周波数を知ることは、原理的にできないのです。すなわち、 測定時間 凾煤@と 測定周波数の誤差 凾 は、(古典的な)不確定性関係にあります。

                    凾 ・ 凾煤@> 1

  これにさらに、プランク定数 h が加わるとどうなるでしょう?
  h は、 エネルギー量子 ε = hν の係数として定義されたので、(t = 1/ν より)

                    凾d ・ 凾煤@> h 

の関係となります。 つまり、量子のエネルギー(あるいは、振動数)と時間との間に不確定性関係が存在し、「自然」は、互いに両者を正確に決定することができない構造になっています。
  このことは、言い換えると、量子力学から導かれた 位置と運動量の間にある不確定性関係

                    凾 ・ 凾吹@> h 

と等価であり、ガンマ線顕微鏡(ガンマ線の運動量 p)で微小な物体(位置 q)を見るならば、必ずピンボケになって、正確に観測できない限界が存在することと同じです。


  (追記): 2012年1月に報道されたとおり、上記の式 εqη≧ h/4π (εq : 位置の測定誤差、 ηp : 運動量への擾乱) は、

               εqη+ σqη+ σpε≧ h/4π (小澤の不等式) (σq 、σp : 物体の位置と運動量が測定前にもっていた量子ゆらぎ)

に変更されました。 これは、量子力学の基本原理の一つが覆されたのではなく、測定と 量子ゆらぎとを区別して原理を適用する必要があることを表し、「不確定性」そのものは全く変わらず、むしろ より厳密に表現された、ということです。




  また、物質の根底にあるもう一つの「人間が知る限界」は、「確率性」です。
  放射性原子核が核分裂して放射線を放出する現象では、放射線が出る平均的な確率を予測できますが、実際それが、いつ、どこに現われるかは全く分かりません。 量子力学が”予言”できるのは、物質が存在する「確率」までであって、一つ一つの粒子がどのように振舞うかは誰もわからないのです。 この典型的な実例は、空間に一様に広がった同じ確率密度の波動から、ある一点に波束が収縮する、というラオホの実験に現われています。
  (参照: 量子力学の2重構造量子力学の自然啓示


  このように、主は、「自然」を、本質的に 人間には分からない限界が存在するよう創造されました。 自然の根底に厳然と存在する、1.不確定性、2.確率性 は、神様が、人間に、「信仰」によって神様とのかかわりを持つように造られたことを如実に示しています。



    「信仰がなくては、神に喜ばれることはできません。 神に近づく者は、神がおられることと、神を求める者には報いてくださる方であることとを、信じなければならないのです。」 (ヘブル人への手紙11:6)




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